家族性大腸ポリポーシスとは?
はじめに
ある日、突然告げられた〝家族性大腸ポリポーシス〟という病名。
初めて聞いた病名に戸惑い、不安に押しつぶされそうになりながら、私はこの病気について調べ、理解し、少しずつ受け入れていきました。
この記事では、私が知ったこと・経験したことを、同じように悩んでいる方の参考になればと思い、記していきます。
遺伝性の病気であるということ
〝家族性〟とあるように、遺伝が関係している病気です。
私自身、それまで家族に同じような病気を持つ人はいなかったので、最初はとても戸惑いました。
でも後から、〝必ずしも家族に発症者がいるとは限らない〟ということを知りました。
これもこの病気の特徴のひとつです。
どんな症状?
この病気は、大腸の中に無数のポリープができるにが特徴です。
さらに胃・十二指腸といった消化器系にもみつかることがあります。
医師によると、稀に甲状腺にポリープが見られるケースもあるそうです。
進行しても初期には自覚症状がないことが多く、気づいたときにはすでに重い判断が必要になることも。
私の場合も、まさに“思いがけない診断”から始まりました。
なぜ大腸癌の発生率が高いのか
調べていく中で、最もショックを受けたのが『大腸癌の発生率がほぼ100%』という情報でした。
大腸以外でもポリープはできやすいのですが、中でも大腸にできるポリープの数は圧倒的に多いのです。
私の解釈ですと、一般の方にみられるポリープとリスクは相違ありません。
ポリープが放置されると癌化するリスクが高くなり、またポリープの数が多いほどよりリスクが高くなるのです。
分かりやすく例で挙げますと・・・
ポリープの癌化リスクが1個に対して1%としたとき、100個のポリープがみつかったら1%×100個で100%の癌発症率となります。
ポリープが放置されると、やがて癌化する可能性が非常に高く、それがこの病気の恐ろしさだと知りました。
治療方針に『切除』がある理由
予防的に大腸を切除する、という治療方針。
最初に聞いたときは、にわかには受け入れられませんでした。
でもこの病気では、〝がんになる前に大腸を取る〟ことが最も有効な選択肢であると、医師から繰り返し説明されました。
理解には時間がかかりましたが、〝命を守るためにに避けられない選択肢である〟と、今では納得しています。
私が知った選択肢
医師から説明された治療法
私に提示された治療法は、以下の3つでした。
・大腸全摘出→ストーマ(人工肛門)
・大腸全摘出→回腸嚢肛門(管)置換術
・積極的経過観察(※臨床研究段階)
選択肢①:大腸全摘出→ストーマ(人工肛門)
大腸を全摘出し、小腸をお腹に開けた口(ストーマ)につなげる手術です。
お腹には〝ストーマ装具〟と呼ばれる装具を装着し、そこに排泄物が溜まります。
ストーマ装具は2〜3日に1度の交換や、便が溜まったら定期的に排出しなければなりません。
選択肢②:大腸全摘出→回腸嚢肛門(管)置換術
大腸を全摘出したのちに小腸を肛門につなげる再建術です。
手術は2回に分けて行います。一時的にストーマ生活をする必要があります。
1度目の手術で大腸全摘出・一時的なストーマ造設・小腸を肛門につなげます。
数ヶ月後に2度目の手術でストーマ(人工肛門)を閉鎖します。
2度に分ける理由としましては小腸を肛門につなげた直後では安定していないため、一定期間をおいてからストーマを閉じる必要があるためです。
1日の排便量は年齢などの個人差がありますが、私の場合だと術後にだいたい◯回ほどです。
選択肢③:積極的経過観察
これはまだ臨床研究の段階であり、標準治療ではありません。
大腸は切除せずに、定期的に内視鏡検査を行い、ポリープをひたすら切除していくものとなります。
治療の負担は軽いかもしれませんが、ポリープが見落とされるリスクや、がん化を完全に防げない可能性もあると説明されました。
同じように悩む人へ伝えたいこと
この病名を聞いて、最初に感じた不安や恐怖を、私も痛いほど経験しました。
でも、あなたは一人ではありません。
私はたくさん迷い、不安と戦いながら、情報を探してこの選択をしてきました。
迷い、悩み、不安に押しつぶされそうになりながらも、たくさんの情報に触れながら、自分にとって納得のいく選択ができることを願っています。
このブログが、そんなあなたのヒントや安心に少しでもなれたら、うれしいです。