はじめに
診断を受けてから、医大での初診日まで約1ヶ月。
その間、気持ちの整理はつかず、不安を抱えながら過ごしていました。
ようやく迎えたこの日。
〝ここから何かが始まるんだ〟と思う一方で、『できることなら、このまま立ち止まっていたい』とも思っていました。
今回は、そんな複雑な気持ちを抱えながら受けた医大での初診、そしてその中で紹介された遺伝子カウンセリングについて綴ります。
この記録が、これから同じような一歩を踏み出す方の支えになれば幸いです。
初診・医師からの説明
当日は夫が同行してくれて、2人で受診しました。
人の多さに圧倒されながら、手続きを済ませ、初診の順番を待ちます。
2時間程まつこととなりました。
待ち時間のあいだは夫と雑談をしながらも、落ち着かない気持ちで座っていたのを覚えています。
やっと呼ばれた診察室。
目の前には落ち着いた雰囲気の年配の先生がいて、紹介状に目を透しながら、ゆっくりと話し始めました。
「病名は、家族性大腸ポリポーシスで間違いないですね。」
改めてそう告げられると、やはり心がざわつきます。
すでに知っていたことのはずなのに、〝現実として告げられる〟ことが、こんなにも重く感じるのだと知りました。
先生からは今後の流れについても説明がありました。
どういった術式があるのか、どういった事例があったのか、今後の検査の項目・検査頻度について、入院について、そして「ご家族のことも含めて、遺伝子の検査を受けてはどうか。」というお話も。
私たちに配慮しながら言葉を選んでくださり、少し難しい内容もありましたが、ほとんどは理解しながら話を聞くことができました。
夫が同席してくれたこともあり、聞くことに徹していた私の代わりに、いろいろと質問してくれたのが助かりました。
遺伝子カウンセリングの紹介
このとき、初めて〝遺伝子カウンセリング〟という言葉を耳にしました。
医師はこう説明してくれました。
「これはご自身だけの問題ではなく、ご家族にも関係する可能性がある病気です。遺伝について詳しく知ることで、今後の方針を一緒に考えていくための相談の場になります。」
〝家族〟という言葉が出てきたことで、胸の奥がぎゅっと締めつけられたのを覚えています。
『自分だけじゃなく、家族も巻き込むかもしれない』
正直、息子のことを思い浮かべると、すぐには受け入れられませんでした。
ただそのときはまだ、「詳しくは別の機会に、カウンセラーと話す形になります。」とのことだったので、また後日に予約して話を聞くこととしました。
この〝遺伝子カウンセリング〟については、後日あらためて別の記事で詳しく綴りたいと思っています。
初診をおえて
診察が終わったとき、不思議と少しだけホッとした気持ちになりました。
あれだけ怖かった初診日。
でも、受けてしまえば『やっとここまで来た』という安堵がわずかにありました。
よっぽど構えていたのでしょうね。笑
とはいえ、不安がなくなったわけではありません。
この先の検査や手術、仕事との両立、家族への影響………まだ何ひとつ終わっていないのですから。
それでも、〝何もしないまま待っていた日々〟と比べると、〝何かが動き出した〟という感覚だけは確かにありました。
おわりに
医大での初診は、私にとって“現実と向き合う第一歩”でした。
診断を受けたとき以上に、病気の存在が〝輪郭を持って迫ってきた〟ように感じたのです。
怖さや不安がなくなるわけではありません。
でも、こうして一歩を踏み出すことで、〝自分が何に不安を感じているのか〟が少しずつ見えてきます。
これから医大での受診を控えている方もきっといると思います。
『こわい』と思うことも、〝動けなくなる〟ことも、きっと自然なことです。
それでも、今日という一歩を進めたことで、明日の自分が少しでも安心でますように。
そんな気持ちで、私はこの日の出来事を受け止めました。